Life + Chemistry

化学の講義録+大学を楽しく面白い学びの場に変える試みの記録 (北里大学・一般教育部・野島 高彦)

2013年度後期から一部の学部では後期から授業中の撮影と録音ができなくなります

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医学部と薬学部では全授業において授業中の写真撮影,録音,録画が禁止されてきました.今月からは医療衛生学部と看護学部でも,全授業の撮影が禁止されることになりました*2.獣医学部,海洋生命科学部,理学部でどうなるかは現在のところ不明です.一般教育部が担当する科目についてはこれら学部の適用を受けず,それぞれの科目の担当責任者が定めることとなりました.

この件については前期中から学生の間で噂が広がっており,私に確認してくる人がいますので,ここに私の理解してることと,私が考えてることを公開しておきます.大学の公式見解ではありません*3

授業中の撮影そのものがイケナイわけではない

学業に役立つのであれば,撮影にしろ録音にしろ録画にしろ,使える手段は積極的に使うのがオススメです.紙とペンしか記録手段がなかったから長らくノートに記録するという手段が一般的にとられてきただけであって,扱いやすいデジタルカメラやボイスレコーダーやビデオカメラが手軽に利用できるよう技術が発展したのだから,そういうものを積極的にとりいれて学び方をアレコレ試してみることは,北里大学建学の精神の一つ「事を処してパイオニアたれ」にも合致しています.

黒板の内容を写すのに精一杯で内容の理解が追いつかない科目は珍しくないし,最近はスライドショー形式の講義が増えてきて,情報タイフーン状態になっちゃって履修者が白旗をあげている科目もあります.カメラで撮影しちゃえば済みますよね.

ではどうして禁止になったのか?

それでも今回,医療系の学部で撮影禁止となったのは,患者の協力を得て記録された映像が学外に拡散するリスクを最小限に抑えるためです.医療系の講義では,患者の協力を得て記録された写真をスクリーン投影する場合があり,それが撮影→オンライン共有→学外に拡散,という流れになると個人情報保護の点で問題となるためです.

撮影とオンライン共有は別なんじゃないでしょうか?

「『撮影はOKだがオンライン共有はダメ』という規則にすればOK」という考え方もありますが,出席者の全員にソレを守らせる確実な手段が無い以上,安全マージンをとって,撮影の段階から禁止となりました.「この科目では記録OKだけど,あの科目では記録ダメで,あっちの科目では以下略」とか「このスライドは撮影ダメだけど次のスライドはOKで以下略」なんてのは事態を複雑にします.撮影しなければ広がりようがないから撮影禁止.

私の科目はOK

私の担当する化学講義に関しては,これまでどおり,著作権やプライバシーの問題が生じない限り,写真撮影も動画録画も音声録音もSNS中継もOKとします.ただし,オンライン共有するときには,後述の「責任の範囲」にご注意下さい.今後も大学が全学レベルで禁止しないかぎり,このやりかたを続けます.私が担当している前期木曜2限の「大学基礎演習B」でも,使える道具はかたっぱしから使って学びに役立てよう! ということを呼び掛けています.

講義で受け渡される知識と情報を持ち帰るためには,ノートに残すことだけがベストな方法とは限りません.ボイスレコーダー,デジタルカメラ,ビデオカメラ,などなど,「記録」用の道具を活用するのも効果的です.
takahikonojima.hatenablog.jp

責任の範囲に注意

授業中の記録が認められていることと,記録したデータをどのように使って良いかは別問題です.例えばwebサイトからのキャプチャー画像や,出版物からのスキャン画像を教育目的で教員がスライド投影することは問題がありませんが,ソレを履修者が撮影してオンライン公開すると,著作権法に触れることになります.

授業中に撮影された写真の中に,教室内の人物が写り込んでいた場合も,その画像をオンライン公開すると,個人情報保護の点で問題が生じる恐れがあります.
これらについての責任は教員や大学にではなく,オンライン公開した人にかかってきますのでご注意ください.

このブログを書いている人

takahikonojima.hatenablog.jp

*1:画像出典→ http://template.usefulhp.com/everyday/satueikinsi.html

*2:どのようにお達しがあるかは不明です.掲示板とか大学からメールとかを日頃からチェックしていてください.

*3:具体的な日時とか適用範囲とかは学部から在学生への発表をお待ち下さい.